「子どもの権利」の視点で考える『子どもオンブズパーソン』とはなにか
11月25日高井戸地域区民センターで行われた学習会『子どものSOSを受け止める 子どもオンブズパーソンの設置を』は、区内で子どもやまちづくりに関わる活動をしている皆さんの参加を得て、とても有意義な集会になりました。
講師の森田明美先生は、東洋大学社会学部教授で、子どもの権利条例東京市民フォーラム事務局長、世田谷青少年問題協議会副会長でいらっしゃいます。「子どもの権利」からの視点で①そもそも『子どもオンブズパーソン』とは何か②杉並に要るのか?③出来るのか?④どうやって作るのか?を、私たちが理解し考えられるように解説してくださいました。
1989年に国連が採択した子どもの権利条約を日本が批准したのは1994年。このころまで雇用者の家族を支えることが出来ていた日本の企業が、景気の後退とともにそれを打ちきり2000年以降は国が担うことにしたものの、それは言い換えれば家庭の問題に社会が物申す仕組みだったこと。しかし、法制化し予算もつぎ込んだのに、子どもの問題が解決するどころか待機児もDVも、いじめも虐待もむしろ増加していることから無策であったとわかること。
これは子どもの権利侵害が起きているということなのに日本では自覚的でないこと。それを打破するためには『オンブズパーソン』の誕生が求められる、というお話に深く納得しました。
そして、例えば都の管理下にあったり、支援を届けるルートが無かったりするせいで、社会が責任を持って手を差し伸べなければいけない子どもに支援が届かないケースはどうしたらいいのか、よく考える必要があること。行政を批判するだけでは何も変わらないこと。平等性を重んじる行政のしくみではこぼれ落ちてしまう子どもに「ゲタをはかせる」のがオンブズパーソンの仕事ということです。
後半は、杉並区内で子どもを支援する活動をしている3団体の発表がありました。障がい児の放課後の居場所を運営するNPO「よりみちくらぶ」、来年以降の開設をめざす「チャイルドラインすぎなみ準備会」、中1から高3までの子どもたちの学習支援「中3勉強会&高校アドバンス」をスクールソーシャルワーカーや福祉事務所と協力して運営する「杉並社会福祉士会」の活動報告を聞いて、身近なところでこんな大事な活動がされているのだと心強く思いました。
『子どもオンブズパーソン』とは、「子どもにとってその状態はN0、その施策はNO」と言える人(存在)であり、揺るがない判断基準を持つ人。「地域の子どもを守るため<アンパンマン>並みに有名にならなければならない」そうです。副題の通り、子どもたちの命と権利を守るために自分は何が出来るのか、私たちがどうしたらよいのかを考える機会をいただきました。 (杉並ネット会員 鹿取愛弓)