築地問題の学習会 利権の構造、基地問題まで見えた

都はなぜ汚染した土地に移転させようとするのか

築地市場(中央区)の移転が複雑な問題をはらんでいることは、3月の都議会での紛糾ぶりからもわかります。(山内玲子都議のHP)杉並と中野の両生活者ネットはこれを食の安全から考えようと5月24日、共催で学習会を開きました。

講師は、この問題を追いかけ膨大な資料を駆使して研究・分析し尽くした元新聞記者の田中宏治(ひろはる)さん。杉並区議会の全議員の政務調査費を丹念に調べて住民監査請求をおこした市民グループ「すぎなみオンブズ」の代表でもあります。

問題の発端は、老朽化が進む市場の移転先として東京都が東京ガス所有の豊洲(江東区)の土地に決め、購入した後、発がん物質をふくむ高濃度の土壌汚染が発覚したことです。かつて石炭からガスを製造していた時代に投棄しつづけたカスが、積もり積もったことによるといわれます。

有害物質は地下水に溶けて広がると予想され、また地盤のゆるいこの土地は震度5以上の地震では「液状化」するといいます。科学者は豊洲を「国内最大の汚染地であり封印すべき」と説くそうです。なぜそのような危険な土地に生鮮食品を扱う市場なのか。

この疑問に対する田中さんの答えは、金融グローバリズムから米国基地問題にまで話がおよびます。農水省が豊洲につくろうとしているのは利権の絡む「流通センター」であって、米国が日本に押しつけた新自由主義的な規制緩和だということ、それは水産業生産者を圧迫することであり日本の中の南北問題、という、メディアの内実を知る人ならではの話にがく然。

都は安全対策が可能と主張しますが、その根拠となる調査データが「墨塗り」で開示された、という驚くべき事実も明かされました。

この日、田中さんは、「都は土地の汚染を当初から知りながら不当に高く購入した」として石原都知事を相手に提訴し、記者会見を終えたばかりのところを駆けつけてくださいました。翌日の新聞にその記事が掲載されています。私たちもこの裁判の行方に注目したいと思います。 区議会議員 小松久子