被災した子どもや子育て家庭のために何ができるのか 

被災3件で支援活動をするNPO、県職員、当事者、国会議員、政府担当者などが報告に耳を傾けた 会場は参院議員会館11/9

東日本大震災で亡くなった人の中には子育て家庭の保護者も多くいました。父や母を亡くした子どもたちは、もう一方の親や親族と、あるいは施設で悲しみに耐えさまざまな困難をかかえながら生活しています。

母子・父子世帯などひとり親家庭の現状はどうか、どのような支援が行われているのか被災3県の担当者と厚労・文科省・復興庁など政府の担当者、当事者やNPO団体が集まり、状況報告や支援の課題などについて意見を交換する会が開かれました。

被災地でなくてもひとり親家庭では生活の基盤となる経済面の確立が困難です。まして震災では家や車を失った上に住宅ローン、車のローンなどの債務の返還があり、貧困状態におちいる場合も多いのです。また震災で職場を失ったり、仕事が激減してしまった人の生活再建は遠い道のりです。

宮城県で父子家庭になった『宮城県父子の会』村上吉宣(よしのぶ)さんは、母子家庭では受けられる「遺族年金」を受給できないケースや、就労支援、無利子の貸付金制度などに差があること、母子・父子はひとり親家庭として同じような行政支援が必要であることを訴えました。

市民団体からは、ユニセフとともに岩手で父子家庭を支える活動を展開する『新座子育てネットワーク』、「社会的包摂-Social Inclusion」の理念でひとり親世帯の生活支援を行う『インクルいわて』、原発事故による県外避難で家族が分断され離婚が増えるなどの更なる問題に向き合う『しんぐるまざあず・ふぉーらむ福島』などのNPOのいま抱えている課題の報告がありました。

この意見交換会を主催したのは『東日本大震災子ども支援ネットワーク』です。これまで原発事故に対する子ども支援、学習支援などをテーマに5回の意見交換会を開き、また宮城県議会を会場に子ども復興支援意見交換会を開くなど、当事者と支援団体、自治体や政府が一堂に会して話し合う場を作り、被災地の子どもたちに対する支援をネットワークする活動を続けています。

被災した子どもや子育て家庭を勇気づけ、子どもたちが困難な環境の中で少しでも明るい希望をもって歩んでいくために、私たちは何ができるのでしょうか。大震災と原発事故直後の混乱は乗り越えたものの、先の長い支援が必要です。(杉並・生活者ネットワーク会員 佐々木 庸子)