「放射能と食品」今最大の関心事についての学習会に80人が参加

この緊急事態にどう対処するかは、市民一人ひとりが考え、判断すること

 80人の参加者が真剣に耳を傾ける 
80人の参加者が真剣に耳を傾ける 
杉並区・生活クラブ地域協議会の主催で緊急学習会「放射能と食品」が開催され、小さな子どもをもつ人など多くの参加者が、真剣に今一番の関心事について耳を傾けました。
講師は1972年から原発の問題に取り組まれてきた科学シャーナリストの天笠啓祐先生です。「本当は話したくないんです。でも事実を話します。どうすればいいかはわかりません」という言葉で始まりました。

1986年にチェルノブイリ原発事故があり、日本では輸入食品に放射能の基準値が370ベクレル/Kgと設定されました。1人の年間の食事量の1/3は輸入食品を食べていると仮定し、1年間食べ続けたときのヒバクは1.7ミリシーベルト。ICRP(国際放射線防護委員会)勧告では年間の許容線量を5ミリシーベルトとしていたので、それ以下に設定されました。

その後ICRP勧告の許容線量が1ミリシーベルトに引き上げられました。ところが日本は計算方法を変え、1年間にもし全量370ベクレル/Kgの食品をとったとしても、ヒバクは0.04ミリシーベルトとしました。こんな不思議なことになるのは、ヨウ素は甲状腺に溜まり、セシウムは骨に蓄積されるのを、全身の量で割ることにするという計算方法を変えたからだそうです。科学的に出しているようにみえる数字は、実は発表する側の意図でどうにでも変えることができるものだということに気が付きます。

マスメディアでは強力に言論統制が行われていて、何が本当のことなのかを見極めるのは困難な事態になっています。風評被害というが、それは事実を知らせないから起こる。政府は「直ちに健康に影響がない」という言葉を繰り返し使うが、急性放射線障害と晩発性放射線障害があり、問題になるのは数年後に表れる晩発性放射線障害のほう。これは体内に少しずつ放射性物質を取り込み、それが長いこと体内に留まって細胞を破壊し続ける内部被曝であり数年後に癌が発生するというものです。

同じ環境にいても、年齢が低いほど影響は甚大で、成人に比べ胎児は10倍のリスク、0歳から9歳の子どもは2.5倍のリスクがあるという。

各自治体はこれまで、原発事故が起こるということを想定していなかったので計測器を持っていない。現在計っているのは放射性ヨウ素とセシウムだけだが、炉心溶融が起こると数百種類の放射性物質が出る。それをきちんと測れる機械を徐々にそろえ、正しく情報公開し、その上でどのような選択をするかは個人個人が決めること。また、現在稼働している原発をどうするのかという国のエネルギー政策について、また身近なところでは子どもたちの給食をどうしていくかなどを皆で話し合う、本当の民主主義をこれから作っていくことが必要になる、ということを参加者全体で受け止めました。 杉並区議会議員 曽根 文子