新しい生活に胸ふくらませる季節に思う

4月はさまざまな「一年生」が誕生する季節。保育園、幼稚園、小・中・高校、そして社会人の「一年生」が、ちょっと緊張しながら新しい生活をスタートさせました。
小・中学校の入学式に出席し、目を輝かせて未知の学校生活への期待に胸躍らせている一年生の姿を見て、お友だちをたくさんつくってね、いっぱい新しいことを学んでね、と思ったところです。

一方、この経済不況から幼児をかかえて働かねばならない人たちがふえています。
3月の時点で保育園の待機児童は180名あり、緊急で100名の保育予算3億2千万円が組まれましたが、今すぐ100名の子どもを受け入れる保育施設ができるわけではありません。区は急ピッチで開所準備を進めていますが、お待たせしている状況には違いありません。80名の手当ては未解決なうえ、新年度になり、赤ちゃんの誕生や転入者もあります。

4月1日から仕事が始まっているので、保育園に入れなかった人はやむを得ずに子どもをベビーホテルなどに預けて働いている現状があります。入園が決まるまで、月10数万円の給与を得るために、無認可保育園に月10万円以上支払う、という生活を選択した方もいます。なにも、持ち出ししてまで仕事しなくても・・・という声もありますが、このご時世でやっと決まった仕事を失えない、というのが本音でしょう。

「100年に一度」という言葉に、みんなが妙に納得してしまい、本質的な問題がかくれてしまっているのではないか、保育の問題、雇用の問題、働き方の問題を見ていて思います。

国は緊急事態ということで15兆円の経済発動を決めましたが、目先の手当でしかないように思います。日本も「みんな」が働く社会がやってきているのです。その時の子育ては?介護は?仕事の仕方は?など、長期ビジョンが描かれて実行されねばなりません。
総額2兆円の定額給付金。杉並区には77億円とそれに伴う経費4億円が国からやってきました。81億円をその自治体に一番必要な施策に使うことができたら、と思うところです。

木々の枝には萌黄色の新緑が萌え出し、区役所の窓からいまにも手が届きそうな所に中杉通りのケヤキがありますが、陽の光に映えて輝いています。美しい春の訪れですが、何か心に霞がかかっている、そんな今年の春です。 区議会議員 市橋綾子

写真 左から市橋綾子、小松久子、藤田愛子(善福寺緑地公園4/5)