小水力市民発電所を実現させた都留の市民力

「つるの恩返し」が生んだ「元気くん1号」を視察する

9月議会でエネルギー問題について質問したとき、市民参加型ミニ公募債により資金調達して実現した小水力発電所のことに触れました(こちら)。この水車「元気くん1号」を実際に見てみようと、18日、生活者ネットワーク環境部会の仲間たちと山梨県都留市まで視察に行ってきました。

自然エネルギーといえば太陽光・太陽熱と風力がすぐ思い浮かびますが、日本の地形に適したエネルギーとして多くの専門家が注目するのが「小水力」です。

自然破壊しなければできないような大規模なダムの水力発電ではなくて、小さな川の流れを利用してできる「小水力」発電は、エネルギーの地産地消を可能にするものとして期待でき、しかもCO2を排出しないところがすばらしい。

この「家中川(かちゅうがわ)小水力市民発電所」は、水流の落差わずか2メートルで一般家庭の15〜16世帯分の電力を生み出し、稼動コストは年間18万円のメンテナンス料のみ。ただし建設には4,300万円かかりました。

この費用のうち、国からの助成と一般財源からの支出以外の分1,700万円を捻出するために発行されたのが、ミニ公募債「つるのおんがえし債」です。自然エネルギーをすすめて環境負荷の軽減に資する、として市民の力を集めたい、だから「都留市から地球への恩返し」という意味を込めてのネーミングだそう。

債券が売れ残ったら職員が買い取らねば、などという予想を大きく裏切って、4倍以上の応募があったといい、市民の自治意識を見直したようです。市はこの協働の力をさらに広げ、「元気くん」2号・3号をふくめて小水力発電のまちづくりを「アクアバレーつる構想」として計画し推進していこうとしています。

なにしろ落差2メートルで十分なのだし、小水力発電は農業用水を利用してできることから、日本中で推進されていけば農業の活性化にもつながることが期待できそうです。いいことずくめですが、河川法による規制が多いこと、初期投資がかかるうえ、電力の買取価格が低いなど制度上の不備により普及が阻まれているのが現状です。これはなんとかしなければいけません。

元気くん2号機が完成したらまたぜひ訪れたいと思います。  区議会議員 小松久子