「STOP!都市型水害」連続学習会

第1回は守田優さんを講師に

今年の夏は、大田区の呑川、神戸市の都賀川、豊島区のマンホール内で、急激な増水による死亡事故が発生しました。ゲリラ豪雨と命名されたようですが、都市部での雨水の処理のしかた、情報伝達のしかた、予測のしかたなど課題が出ています。

3年前、杉並を襲った集中豪雨により2000世帯以上の家屋が浸水被害を受けたことは、まだ記憶に新しいところです。都は激甚災害対策特別緊急事業として、善福寺川の環七より西側(済美橋〜本村橋)で河床を80センチ掘り下げる工事を行っていますが、3年前の浸水被害は、もっともっと上流の西荻北、上荻あたりの上流域でもありました。

この地域に、洪水前に都が計画していた下水道の合流改善事業があります。善福寺川の最上流の美濃山橋から環八までの3.4㎞、川に並行して地下に雨水貯留管を入れる計画です。初期降雨の一番汚水濃度の高い雨水を川に入れないことは水質改善につながるだけでなく、プール10杯分が貯留され、一気に河川に流れ出すことを抑えます。つまり、溢れるまでの時間を稼ぐことになるわけです。この計画の説明会が洪水後に行われた際に、「合流改善を図っている場合か!」「もっと大きな管を青梅街道の下に入れろ!」と説明会は反対の声の嵐になり、雨水貯留管設置は手付かずで3年がたっています。その間、集中豪雨は何度も起きていて、そのたびに沿川に住む方たちは不安な思いで暮らしているのです。

杉並ネットの環境部会は、洪水のメカニズムを学び、何が問題で解決方法は何か、を住民が考え、地域のことは地域が決めて善福寺川の洪水をなくしていこうと「善福寺川の洪水をなくす会」をつくり、学ぶことから始めることにしました。
第1回目は、3年前の洪水直後に被害を受けた方への聞き取り調査に入られた守田優さん(芝浦工業大学工学部)を講師に、善福寺川の洪水について、都市中小河川の河川計画の手順についてお話を伺いました。

そのなかからわかったこと2つ。
1.流域の不浸透面積が大きくなると、河川に流出する割合が高くなる。つまり、しみ込む量が増えると河川に流出する量は減る。
2.短時間に河川に集中すると、洪水の危険性は大きくなる。集中させる時間を遅くすることで洪水は避けられる。

第2回学習会も企画していきます。
杉並・生活者ネットワークは雨水を浸透させる、また、貯めて生活用水に使うなど、水循環をはかり水害に強いまちをつくっていきます。   区議会議員 市橋綾子