新銀行東京問題−②

放漫経営の原因は苦労して集めたお金ではないから!

東京都が1000億円を出資し、経営難に陥っている新銀行東京で、05年の開業から3年間で役員17人が辞任していたことがわかった。06年に辞任した役員6人のうち、4人が大手銀行など金融出身者で、1人は監査法人出身者だ。放漫経営を厳しく追及する役員ほど煙たがられ、ずさんな融資について取締役会で進言しても聞き入れられず、見切りをつけたようだ。開業当初、融資して数カ月で倒産する企業が散見され、対策を求めたが聞き入れられなかったという。 同行は05年4月の開業時、代表執行役(取締役兼務)のほか、執行役5人と取締役6人の役員12人体制だった。 開業時の代表執行役は07年6月に退任。開業3年となった現在、開業時から残る役員は2人だけだ。開業以降に13人が新たに役員となったが7人が辞任し、開業3年で役員計17人が辞任している。

減資なら都の追加負担さらに600億円
石原慎太郎都知事は「方向としては、てこ入れで再建、債務超過で店じまい、ペイオフの3つしかない」と述べて、追加出資に理解を求めている。
 融資先企業のうち、2005年4月の新銀行開業から今年1月までで2300社が経営破たんし、焦げ付いた融資は、累計で285億円に上る。新銀行は大量の不良債権発生などで、今3月期末の累損は1016億円に達し、多額の累積赤字を解消するために減資を検討しており、資本金1187億円の減資を検討する考えを示している。減資の規模や手法は未定だが、その場合、都に08年度内に最大で637億円の新たな臨時負担が生じる可能性があるという。
 都財務局によると、都は1000億円を出資しているが、このうち700億円を都債で調達している。仮に銀行から全額減資を求められ了承した場合、都債700億円を一括して繰り上げ償還するか、同額を減債基金に積み立てなければならない。
 都債は07年度から30年かけて償還する計画で、都は08年度までに63億円分を減債基金に積み立てる方針。全額減資が決まれば、残りの637億円分についても08年度中の負担が生じることになる。このため都に400億円の追加出資を求めるとともに、減資で累損解消を検討している、ということだ。こうなると東京都が2008年度中に600億円程度の追加負担を迫られることが明らかになった。出資金に充てるため発行した都債の一括繰り上げ返済が必要になるためだ。つまり、400億円の追加出資をしてもさらに約700億円の追加が生じることとなる。知事は銀行を潰せと言っても1000〜2000億円はかかると言っていたが、すでに1000億円が必要なのは目に見えている。であるならば、追加融資はなしに決着を図るべきである。
3月11日から始まる都議会予算委員会でどんな論戦が繰り広げられるのか、注目したい。
ぜひ傍聴にいきましょう。
               杉並・生活者ネットワーク 代表 藤田愛子

写真 春を告げる黄色い花トサミズキと善福寺池 3/16