「ゆう杉並」をご存知ですか?

当事者参加でつくりあげた中高生のたまり場

中高生の溜まり場として親しまれている「ゆう杉並」をご存知ですか?
1997年9月にオープンし、当時はもちろん今でも全国各地からの視察が絶えない施設です。それは、中高生に限定した居場所という他にあまり例のない施設であること、その建設と運営に中高生自身が関わっていることが、評価されているからだと思います。
実は、この取り組みには杉並・生活者ネットワークが、そして当時区議会議員であった私も深く関わり、ネットらしい「市民参加」の典型といえる活動が出来たと思っています。オープンして来年は10年になるという今になって、このことを持ち出したのは、先日、男子大学生がゼミの研究テーマの一つの事例としてその施策化の過程が知りたいと、私を訪ねて来たからです。
1993年10月に発表された杉並区長期計画(10年間の計画)に、児童福祉センターの移転改築とその際には中高生対応が可能な大型児童センターにすることが挙がりました。それなら、利用者である中高生の意見を聞くべきと考え、市民団体『まちづくりに夢をつなぐ市民の会』とともに、中高生に呼びかけをしてワークショップを開催し、こんな児童センターだったらいいな〜と夢を形にしていく作業を一緒に行いました。同時に議会の一般質問にとり上げ、建設に際しては中高生の意見を取り上げるよう提案していきました。
提案を受け行政も「建設中高生委員会」を組織し、その中にワークショップに参加していた中高生も加わり、児童館職員とともに自分たちの提案をつくっていきました。はじめは夢みたいなことを言っていた彼らも、敷地と建物の規模、管理上の問題などの現実問題を前にしてそれなりの落ち着き所を持った実現可能な提案をつくりあげました。運営に関してもワークショップで企画をつくることを学び、議会質問を行い、今日も続いている「中高生運営委員会」が組織されました。
この成果は、市民(子どもも含めた)の活動と議会への提案、行政との調整が連携を持って進められた結果であり、まさしく生活者ネットの活動そのものであったといえます。10年前の活動が議会質問を紐解いた学生さんの目に止まり、このような訪問を受けたことは嬉しくもあり、私たちの今の活動を振り返るきっかけにもなりました。
そしてこの活動は、子どもたちは少しの手助けがあれば、自分たちの意見を出しそれをきちんとまとめることができることを示すものとなりました。子どもたちに子どもたちが主体となれる場を提供する、それが私たち大人の務めだと思っています。
前杉並区議 樋口蓉子