住基ネット訴訟完敗 杉並区は控訴へ

選択制は認められるのか

杉並区が住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)への選択制による参加を求めて国や都を相手に提訴していた事件で、3月24日東京地方裁判所が判決を言い渡しました。これを受けて31日区議会の総務財政委員会と区民生活委員会の合同審査会が開かれ、この席で区長は上訴の意向を明らかにしました。

判決は、住基ネットの選択制を都に認めさせようとする請求について「司法判断しない」という意味の「却下」、都と国に損害賠償を求めた訴えについては「請求の意味がない、棄却」という全面敗訴で、区にとって最悪の結果です。

区はこの判決内容を「一条文の解釈にすぎず低次元」、また「IT社会の考察が浅く、情報に対する理解が旧態依然」であると批判し、「この法解釈を確定させるのは問題であり、セカンドオピニオンをとるのがふつうであるいま、複数の判断を仰ぐべきと考える」と山田区長が答えました。

杉並・生活者ネットは、個人情報保護や区の自治権、プライバシーの権利などの点から住基ネットそのものに大きな問題があるため個人が選べるシステムにすべきと考え、選択制を支持する意味で提訴に賛意を表してきました。

しかし今回の判決には次につながるようなわずかな芽も見られず、弁護団の体制を強化するでもなく上訴するのであれば、同じ結果になるのではないかという危惧を覚えずにいられません。この訴訟でこれまでに区は2,591万円支出し、この上06年度予算に計上した1,000万円がさらにかかります。

これらの点から、上訴については体制をしっかりつくって臨むことと区民へのていねいな情報提供を区に要望しました。

          区議会議員   小松久子